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一杯のコーヒー

​心理的安全性とは

このページでは「心理的安全性」について、解説しています。

1. 心理的安全性とは

心理的安全性とは、「このチームでは率直に自分の意見を伝えても、他のメンバーがそれを拒絶したり、攻撃したり、恥ずかしいことだと感じたりして、対人関係を悪くさせるような心配はしなくてもよい」という信念が、集団内に共有されている状態を意味します。(1)

 

この状態は、心理的安全性を意識することによって作られるのではなく、集団内の雰囲気から、自然と上記の心理的安全性を感じられている状況を指しています。

 

この概念を発展させたハーバードビジネススクール教授エドモンドソン(Edmondson)によると、心理的安全性があるチームは、以下のことが可能になるとされています。

 

『Edmondsonは、心理的安全性とは、ひとりのメンバーが経験して得た知識や理解を、全員で学習し共有して、高いパフォーマンスに繋げることを可能にする集団状況であると指摘している。

単なる仲良し集団ではなく、ミスやエラーのような個人にとっては痛みを伴う経験でも、それを開示しあったり、問題点を指摘しあったりして、そこからメンバー全員でより適切で効果的な判断や行動のあり方を学び、共有していくことを可能にする集団の状態こそが、心理的安全性の意味するところである。』(1)

 

整理すると、下記の通りになります。

 

  • ひとりのメンバーが経験して得た知識や理解を、全員で学習し共有して、高いパフォーマンスに繋げることを可能にする。

  • ミスやエラーのような個人にとっては痛みを伴う経験でも、それを開示しあったり、問題点を指摘しあったりして、そこからメンバー全員でより適切で効果的な判断や行動のあり方を学び、共有していくことを可能にする。

心理的安全性がメンバーの潜在意識に深く浸透していることで、上記のような協同的な行動が、無意識にメンバー一人一人の判断や行動に表れてきます。

2. 概念の経緯

心理的安全性についての最初の研究は、1965年にマサチューセッツ工科大学のエドガー・シャイン(Schein E)とウォレン・ベニス(Bennis W)によってはじめられました。(2) 

 

その後の1999年に、ハーバードビジネススクール教授エイミー・エドモンドソン(Edmondson A)によって、心理的安全性の概念がリーダーシップと経営管理に関する研究のなかで、さらなる発展を遂げてきました。(3)

 

近年になって、効果的なチームのための要件を調べたGoogleのプロジェクトの中で、その要件の一つにエドモンドソンの心理的安全性が引用されて示されました。

このことが大きなきっかけとなって、心理的安全性というキーワードは、大きな注目を浴びることとなりました。(4)

3. Googleのプロジェクトからみる心理的安全性

Googleのリサーチ・プロジェクトが、成果や評価の面から効果的なチームといえるチームの特徴について、5つの因子を特定しました。

そのうちの最も重要な要件に、心理的安全性が挙げられており、エドモンドソンの論文が引用されています。(4)

効果的なチームのための5つの因子

(Google re:Work『「効果的なチームとは何か」を知る』より引用)

心理的安全性:心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。

 

互信頼:相互信頼の高いチームのメンバーは、クオリティの高い仕事を時間内に仕上げます(これに対し、相互信頼の低いチームのメンバーは責任を転嫁します)。

構造と明確さ:効果的なチームをつくるには、職務上で要求されていること、その要求を満たすためのプロセス、そしてメンバーの行動がもたらす成果について、個々のメンバーが理解していることが重要となります。目標は、個人レベルで設定することもグループレベルで設定することもできますが、具体的で取り組みがいがあり、なおかつ達成可能な内容でなければなりません。Googleでは、短期的な目標と長期的な目標を設定してメンバーに周知するために、「目標と成果指標(OKR)」という手法が広く使われています。

仕事の意味:チームの効果性を向上するためには、仕事そのもの、またはその成果に対して目的意識を感じられる必要があります。仕事の意味は属人的なものであり、経済的な安定を得る、家族を支える、チームの成功を助ける、自己表現するなど、人によってさまざまです。

 

インパクト:自分の仕事には意義があるとメンバーが主観的に思えるかどうかは、チームにとって重要なことです。個人の仕事が組織の目標達成に貢献していることを可視化すると、個人の仕事のインパクトを把握しやすくなります。

上記の5つの因子は、効果的なチームに影響を与える重要な因子の順に記載されていることから、心理的安全性の重要さが見て取れます。

また、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が、重要であることも明らかにしました。

ここまでを踏まえると、メンバーがどのような人物であっても、主体性をもった者同士が互いに信頼していることを土台に、柔軟にコミュニケーションを図って協働し、効果的なチームを成していることが伺えます。

​引用文献

(1)山口 裕幸,2020,組織の「心理的安全性」構築への道筋,医療の質 ・ 安全学会誌 Vol.15 No.4

(2)Schein,E & Bennis,W.,1965,Personal and organizational change through group method. Wiley. New York.

(3)Edmondson, A.,1999,Psychological safety and learning behavior in work teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.

(4)Google.Re:Work「効果的なチームとは何か」を知る(https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/)

お客様の声

 手っ取り早く解決する方法が、アドバイスによって得られると思っていたので、最初は困惑がありました。それでも毎週自分の苦痛が理解される度に、緩和される体験を通して、着手するのが億劫だったタスクにも、抵抗感なく取り掛かれるようになったので、わたしには効果があったと感じます。

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